エチュード
私は高校1年生の時に女優の小川眞由美さんが作った劇団に通っていた きっかけは父親だった ある日新聞を読んでいた父が、小川眞由美さんが劇団を作ると言うことを知り 劇団員募集オーディションの記事を見つけたのだ わたしは何も知らされていなかった そんなある日、親に吉祥寺に連れていかれ 「今からオーディションだよ」と言われた 意味がわからぬまま、なんとなくの説明を受けた私は劇団員オーディションがやっている場所にきていた オーディションはエチュードをやると言うものだった 小学生の頃から歌手を目指している私はオーディションに慣れていた もちろん落ちることにも だけど、今回の【エチュード】と言うオーディションは初めての体験だったのだ 中学生の頃、演劇部にいた事がある でもそれも歌手になるために1番役に立つ部活動なんじゃないかと言う動機だった オーディションには沢山の人がいた 素人は私だけなんじゃないかと思うほど、周りのみんなは劇団員に見えた わたしの番が来て 人生初の【エチュード】をやった エチュードとは 即興劇の一種。 わたしは小さい頃から、シナリオを作るのが大好きだった シナリオと言っても子供が作っているものだから、ただの妄想と言うのだろうか だけどそのシナリオで友達が演じてくれたりもした 小学生だった頃、私達は大人の真似をしたドラマを作る遊びが流行っていた 脚本も演出も監督も全部自分達だった 詳しくは書かないが今思えば大人びた脚本だった そんな日々を過ごしていたこともあり、わたしはいつも頭の中で物語をつくり 1人で何役も演じていた そんな子供だった だから、初めてのエチュードは楽しかったのだ オーディションを終え、数日後 結果が届いた 私は劇団員になったのだ
