青空の天井(前編)
ある日わたしはパスタ屋の厨房にいた 朝から晩まで、パスタを作り皿を洗う またあくる日もパスタを作り皿を洗う日々 わたしはパスタ屋でアルバイトをしていた 学生時代からの仲の良い友達と一緒に始めたアルバイトだ 私達は一生懸命働いた 働くことが好きだったのだ 人気店にする事に夢中だった 毎日が楽しかったのだ 来る日も来る日もパスタを作り皿を洗い いつからか発注なども任されるようになり 最年少の私達はお店の中では先輩になった とても忙しかったけれどとても充実していた 後に父はこの頃の私を狂った様に仕事に燃えていたねと言っている その通りだった 私は仕事に魂を持っていかれていたのだ ある日、他のアルバイトの人が欠勤してしまい 私はオーダーされたパスタを3つ同時に1人でつくっていた その時 突然わたしは青空が見たくなったのだ 厨房の中から外の世界に行きたくなったのだ そして私は決めた 青空が見える毎日お祭りの様な世界でアルバイトをしよう…と すぐに私はパスタ屋を辞めた そして履歴書1枚を持って出掛けた 〝浅草〟仲見世商店街へ つづく